第28回 ソ・レボリューション
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インターネット便利ですね、今更ですが。ホームページからブログにミクシィ、最近はツイッターにフェイスブックと流行は変われどみなさんさらっと使っています。未だに未体験なのでイマイチ理解していないアナログおやじでも、日々検索しています。解らないことがあればすぐにクリック。するとたいていのことは出ています。しかも無料で。よくもまあという情報を無償で提供してくれる諸兄諸姉に感謝です。が、得られる情報を鵜呑みすると……使う側の力量も試されるのです。と、どこかで誰かが言ってました。
立喰・ソの歴史は江戸時代まで遡ります。年末のお約束、忠臣蔵の夜泣きそば屋に化けた杉野十兵次(でしたっけ?)が有名です。その後、明治維新、大正モダニズム、日華事変から太平洋戦争に至る戦乱の昭和初期と戦後混乱期、そして高度経済成長、バブル、昭和の終焉と新時代平成を経て今日に至る立喰・ソの歴史は各自検索してもらうとして、長い歴史の立喰・ソにもかかわらず特化した書籍はほぼ皆無でした。立喰・ソ研究に邁進し続ける先達もいらっしゃるのですが、その成果が一般書籍化されることはなく、出るのは蕎麦文化や、格式高い本格的蕎麦屋の紹介本ばっかり。情報化時代という言葉が死語になりつつあった1990年後半ですら私の知る限り皆無でした。
名プロデューサーに恵まれなかった立喰・ソですが、2000年やっとこさ「旨い 立ち食いそばうどん」という単行本が出版されました。 | ||
情報不足時代の立喰・ソ巡りは行き当たりばったりでした。おつゆや天ぷらの香りのしそうな路地をひたすらうろうろする、時間と資金と体力を奪う難行苦行。例えれば、どうにも調子のでない自己流キャブセッティングの泥沼にはまり、ぶん投げようと思っていたところ「キャブレターノート」(バイカーズステーション監修 モーターマガジン社刊 1900円)を見て目からウロコみたいなもんです。 |
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■「旨い!立ち食いそば・うどん 東京・駅別大調査」 (2000年)小学館文庫 東京路傍の麺党著 476円(税別) 店舗情報だけでなく関係者インタビューとか女性客などの読み物もためになりました。当時掲載された立喰・ソにはこの本の宣伝POPが貼られていました。最近は自店が掲載された雑誌の切り抜きをパウチッ子して貼っている立喰・ソも珍しくありませんが、発祥はこの本でしょう。北海道編や関西編など続々発刊かと期待していましたが……公式サイトも閉鎖になったようです。なにかあったのでしょうか? |
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2000年当時の首相は“Who are you?” “I’m Hillary’s husband” “Me too! ”でおなじみ森喜朗氏。森さん同様すっかり忘却の彼方の「2000年問題」の年でした。地球最後的大騒ぎ報道でしたが、結果は「大山鳴動して鼠一匹」(←正しく読めますか?)。何も起きず、ああよかったよかった“The danger past, and God forgotten. ”の例え通り(意味とか語源については、「バイクの英語」にリクエストしましょう)次に控える2038年問題についてはあまり語られません。「32ビットの符号付二進数の桁あふれ」で(詳しく知りたい貴方、さっそく電気先生にリクエストを)、2000年問題より深刻な問題のようですが、「まだ26年あるから、なんとかなるだろう(してくれるだろう)」です。騒いだところで私にできることなどありゃしませんし、そもそも26年後に生きているかどうか……
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■「偉いぞ! 立ち食いそば」 文庫版(2009年) 東海林さだお著 文春文庫 562円(税抜) 秀逸のタイトルです。情報系ガイドブックではなく立ち食いそばをすすって綴る文学です。名エッセイ集「まるかじりシリーズ」の流れを汲む作品です。東海林さだお大先生が一念発起し富士そばを一日一食づつ食べて全メニュー制覇に挑む日々を食に関して一家言ある先生の独特の考察で描きます。そして意外な結末へ……。富士そば社長との対談も必見。立喰・ソだけではなく駅弁や宝塚などのエッセイも収録。立喰・ソファンならばハードカバー(2006年)の初版本を書棚に揃えたいです。 |
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■そばづくし汽車の旅(1991年) 種村直樹著 徳間書店刊 1262円(税抜) レールウエイライターという言葉を最初に使った鉄道出版界の大御所、種村直樹先生が1990年暮れに広島県の加計駅から北海道の森駅まで(もちろん「かけ」と「もり」にかけて)ジグザグに8日間4500キロも鉄道にゆられながらも食べるのはそばのみという旅を綴った本書は「旨い〜」より前の1991年に出ていますが、残念ながら駅そばはおまけ扱いで、メインは普通のそば屋さんです。道中食べたそばは29食で、駅そばは米原、山形、新得、北見、旭川の5軒を実食(他に食べていないが出てくる駅そばもあります)。ちなみに米原と新得は現在も営業中。山形と旭川は形態が替わったものの存在。北見は幻立喰・ソになってしまいました。旅の起点加計駅があった可部線の可部-三段峡間は2003年に廃止され再現も幻に…… |
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■「立ちそば大全」(2010年) 今柊二著 竹書房文庫刊 762円(税抜) 世界初の定食評論家というだけのことはあり、大衆食堂系の定食や丼もの方面の著書が多数あります。本書に掲載の写真は本人がデジカメでパチパチ撮っている素人写真ですが、それが妙にリアルで、平易で大変読みやすい文章と共にB級空間を構築し、読み進めば進むほどストマックをくすぐるでしょう。大全の名の通り北海道から九州まで紹介しているのはさすがです。見るのもつらくなる小さな字がびっしり詰め込まれているのもお得感倍増。店舗紹介だけではなく、立ち食いそばの歴史や大チェーン店食べ歩きなどのコラムも充実しています。 |
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■鉄道グルメの「駅めん」ノート(2009年) 百舌鳥伶人著 中経の文庫刊 600円 (税抜) 駅の立ち食いに特化した初の本(タイトルにも「本邦初」と書いてありますし)で、JRだけではなく私鉄や第三セクター、そして穴場中の穴場と言われているJRバスの直営店まで、沖縄を除く日本四島のおもしろ、名物系駅そばをメインに82食(ラーメンやうどんも混じってますが)を写真付きで紹介しています。この本に掲載された立ち食いそばを全部食べるだけで、かなりの駅そば通を語れます。駅そば入門者にもお勧めです。 |
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■ご当地「駅そば」劇場 (2010年) 鈴木弘毅著 交通新聞新書刊 800円(税抜) こちらも駅そばに特化しています。しかも著者の鈴木弘毅氏は1万杯の駅そばを食べ、さらに記録を更新中の駅そば猛者ですから、駅そば研究家と名乗っても異論などあろうはずもございません。内容は押して知るべし、日本全国48の駅そばをタイトルの紹介だけではなく、関係者の証言をストーリーとして綴った日本初(たぶん)の駅そばドキュメンタリーでもあるのです。4章の構成でうどんは第4章にまとめてある気配りもそば専にはウレシイ構成です。 |
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■駅そば読本(2012年) 鈴木弘毅著 交通新聞新書刊 800円(税抜) 1万杯の猛者、「駅そば」のエキスパート、駅そば研究家の面目躍如な集大成本です。最近では一般にも知られるようになった関東風と関西風の境界線や歴史は言うに及ばず、支払い方法、店舗の設置状況やレイアウト、どんぶりや箸まで、よくもまあここまで調べた人はというB級グルメとか旅情といった初期段階を卒業した駅そば中上級者?向けです。駅そばを学問に昇華させた一冊でしょう。氏のWebサイト「駅そば選手権」もあわせてぜひご覧下さい。 |
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■噂の東京グルメ ~ 美味しい立食いそば屋編(2011年) TBS SERVICE 1300円(税抜) 意外と今まで紹介されていない立ち食い店や、最近出来た店舗を素早く掲載しているのはさすはTV系の本。無愛想(に見える。というか怖い)な御主人や、職人気質でカメラを向けると塩をまかれそうなダンナさんなど写真に納めているのはさすがTV系。カラーページが多く、店舗情報に地図、営業時間、定休日もきっちりと抑えているのはさすがTV系。ちょっと高めの本ですが情報は価格相応でしょう。タレント押しじゃない情報本にして、300円安くしてくれたらもっとよかった……よけいなお世話ですか。 |
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■なぎら健壱のずるり!立ち食いソバの旅 EXPRESS刊 3800円(税抜) なぎら健壱さんと有名でないお笑いコンビ&女性タレントが立ち食いそば屋を巡るCS番組のDVD版です。「タモリ倶楽部」+「アド街ック天国」!?という広告コピーはちょっと……内容はあなたが思い描く低予算CS番組そのものと思えばハズれはありません。今はなき旧歌舞伎そばの映像が見られるますし、何十年か後には貴重な映像記録になります。そうです、なにを求めるのかで評価は分かれるのです。しかし特典映像がなぜもんじゃ? 本編82分+特典13分 |
■立喰・ソNEWS ●テレビを見ながらごはんを食べると怒られた、ああ、あのころに戻りたい! |
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悪評高き、通称緑のおじさん(又はミドリムシ)。疾風のように現われて、写真を撮ってシールを貼って去って行く。貼られる前ならセーフですが、ぺったんされたら問答無用の一丁上がり。 |
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そんな状況で打撃を受ける立喰・ソは数知れず。東京都練馬区某所の某立喰・ソでは、バイク客が来たときは妻に厨房を預け、主が自らバイクの見張りをしているとか……そんな自己防衛も最近はハイテク化が進み、店の前を監視するモニターを設置してある立喰・ソがぼちぼちあります。
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臨戦態勢で画面を睨みながら急いで食べる昼飯、旨いと思いますか? ねえ先生方。 | ||
次の選挙で「立喰・ソ食べてる間はセーフ」をマニフェストに掲げてくれる党はないですか? ないでしょうね。新党作っちゃいますか? |
バ☆ソ
日本全国立ち喰いそば全店制覇を目論む立ち喰いそば人。現在600店以上のデータを収集したものの、ただ行って食べただけではたいして役に立たない。立ち喰いそば屋経営を目論むも、先立つものも腕も知識も人望もなく断念。で、立ち喰いそば屋を経営ではなく、立ち喰いそば屋そのものになろうとしたが「妖怪・立ち喰いそば屋人間」になってしまうので泣く泣く断念。世間的には3本くらいネジがたりない人と評価されている。一番の心配事はそばアレルギーになったらどうしよう……。
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