2012年1月19日 

■オヤジの海。

コンニチわんわん。西伊豆へ行った。その日の明け方、割と暖かいはずの西伊豆でも雪が降ったよーだ。伊豆の山々をうっすら雪が覆っている。寒くってアッチもコッチも縮みこんじゃいました。

朝っぱらからちょいと撮影なんかしたもんだからお腹がすいて、ちょいと早めの昼ご飯にした。
海岸沿いの小さな町には「磯料理」の看板が並んでいる。意外に高いんだよな、と思いつつ他にあてもないし、店もなし。水槽に高足蟹が泳いでる……泳いんのか?……お店に入っちゃった。

おばーちゃんが、「おはよーございます」だって。いらっしゃい、じゃないんだ、と思って時計を見たら、まだ10時半だった。
お店ん中はひんやり。
「今、暖房付けますから」──、朝日の燦々と入る窓際の席に座った。
メニューにはトンカツ定食、なんてのもあったけれど、やっぱり海鮮丼にした。

待つこと20分──ん?──マツコと20分かぁ……てな妄想をしながら、でもマツコとだったら2時間くらいならお話してもいいっかなぁ。こー見えても昔はオカマさんにもてたものだ、エッヘン。

「ナマコ、食べます? 朝、獲れたんですよ」
おば-ちゃんがニコニコ顔で訊いた。
「は、はい」
マツコとの妄想から、醒めた。
おば-ちゃんはもっとニコニコ顔で、「サービスだから」と言った。

「お待たせしました」
店主と思しきオジサンが料理を運んできた。たぶん、おばーちゃんの息子だ。
「あわびも入れておいたから。オヤジが朝、獲ってきたヤツだから」
あんまり愛想のいいオジサンじゃないけれど、だからこそ信用できた。

「はい、なまこ。オヤジが朝、獲ってきたヤツだから旨いよ」
ここんチのおじーちゃんに会いたくなった。

あー満腹。
外に出たら、海の向こうに富士山のアタマが見えた。(中尾祥司)