2013年4月30日 

■ミスターバイクBG 5月号特集を振り返る

今月の特集の取材は楽しかった。

今買うべき、として僕が担当したのはNSRとCRMとSRX。いずれも好きなバイクだし思い入れもあるし買うべき一台だと思う。たくさん取材するなかで、誌面には書ききらないことも多いからちょっとここに書いちゃおう。

NSRについて取材したのは神奈川県藤沢市の「モトールエンジニア」さんと、静岡県牧之原市の「モータークラブ ゲズンハイト」さん。いずれもとても興味深い話が聞けました。

モトールエンジニアさんは、NSRで鈴鹿選手権を自ら走っていた店長がその後アイファクトリーに勤めたという、もう、なんと言うかNSRのプロのプロって印象。NSRが出た当時を振り返りつつ色々お話してくださった。ハチハチはやっぱりセンセーショナルだったとか、89までがよりピーキーでライダーをその気にさせるとか。89までがワクワク・ゾクゾクする加速感はあるけれど、でも速さという尺度だけで見た場合はそれは勘違いもさせる感覚で、実はMC21型の方が速いとか。

92まではF3選手権を勝つという強い目的がメーカーにあったから、金のかけ方が違うでしょう! というお話が印象的でしたね。

あとは今乗っている人へのアドバイスとして、誌面にも書いたけれど、使い方によってハイオクは使わないほうがいいとか、9番のプラグを使ったほうがいいとか教えてくださいました。

モータークラブ ゲズンハイトさんは、以前にTOTのゼロ4クラスに僕がZX-4で出た時に一緒に走ったNSR好きの店長。僕のタイムのちょっとだけ上で、彼が2番グリッドで僕が3番だったんだな。レース中は4番グリッドのTZRと三つ巴のバトルを繰り広げたけれど、結局僕とTZRが絡んで転倒、NSRが余裕の2位になったんだった。
いつかやり返してやろうと思ってたらチョーエントリークラスだったはずのゼロ4が先鋭化して4秒台のバトルが展開されてるっていうから、練習しない僕はもう出れないな(笑)

でNSRについてだけど、誌面に書いた通りとにかくセンターシール抜けが問題で、と、ガタガタになったベアリングをいっぱい見せてくれた。あとは排気ポートのところにクラックが入ってるやつとか。
70年代の絶版車と一緒で、ちゃんと乗ろうと思ったら一度エンジンを開けて、まずはクランクの状態のチェックをしないと、という話。だって「それなり」の状態で乗る意味はない性格のバイクじゃないか。純スポーツマシンは最高の状態で乗らないと。

アドバイスとしては、電装系を壊さないためにRCバルブ周りのメンテをすることと、安定した電気供給のために電圧計をつけることがお勧めだとか。

一時期はセンターシールも交換できたのだけど、今はその部品そのものが手に入らなくて、オーバーホールはできない状態なんだって。いやー、雑誌作りもこっちの知識のアップデートが大切だな、と思った次第。

まだホーニングの跡が残ってるほど、ほぼ新品のシリンダーなのに虫食いが見られる。これは長期不動の状態で、ピストンがずーっとそこにあったからさび付いてお互い腐食しあってしまった例

指のところ、ポート間にクラックが入っているのが見える。こんなトラブルも。とりあえずは走り続けるが、ピストンへのダメージは避けられない。

クランクベアリング及びセンターシールへのダメージで使えなくなったクランク。モータークラブ ゲズンハイトではいつか再生可能な日が来るのを期待して大切に保管している。

エンジンだけでなく、車体でも純正部品欠品などに悩まされる。モトールエンジニアでは写真のフォークの調整機構やチェーンスライダーなどリプロパーツをラインナップ。

つづく         (ノア)