2013年5月10日 

■ミスターバイクBG 5月号を振り返る その3

僕が担当した車種で、最後はCRM。

 このCRMにはなかなか思い出があって。学生の頃、トライアルをやっていた先輩がCRMの50を持っていて、これをなんだかんだとチューニングして滅法速かった。50ccでこんなに速いか! と驚いたもんです。

 その後、今度は後輩がCRM250のARを購入。借りてツーリングに行ったりもしましたが、速いし燃費も良いし2ストなのに静かだしで大変気に入りました。当時すでにちょっとプレミアでね、けっこう高かったように記憶してます。

 学生の頃よく出入りしていたお店のメカニックさんもCRMに乗っていて、当時ちょっとハマってたエンデューロレースに出ていました。2ストなのにけっこうトルキーで難所をスイスイ走る彼を見て、CRM(そして彼のウデ)に憧れもした。

 今回の特集の「今買うべき」とは、今後値段が高くなることが予想されるから買うべきよ、というニュアンスもあるけれど、CRM-ARについては一時期のプレミアは落ち着いて、反対に今ちょっと値段が落ちてきて買いやすくなっているという状態。でもプレミアじゃなくなってくると大切にする人が減って、そうするとボロボロになっていく車両が増えていくのも事実。だからこそ、今のうちにいいのを買っておきたい!

 今回CRMについてお伺いしたのは「モトショップ ストラーダ」さん。まさに学生の頃に出入りしていたお店そのものです。メカニックさんはかわっていなかったけれど、もうCRMには乗ってなかった。でも話は聞けましたよ。

 CRMはとにかく調子のいいときはめちゃくちゃ良いのに、どこか一つダメになるととたんに全てが狂い始めるそう。だからこそ定期メンテナンスを欠かさない必要がある。ま、2ストはおおむね4ストよりはその傾向が強いからなぁ。

 一番多いのは3万キロぐらい走った車両のピストンやリングの磨耗。これにより吹き抜けがおき始めると、クランクケース内にカーボンが入ってしまい、それによりクランクベアリングに損傷が出てしまうことがあるそう。こうなるともうフルOHですね。吹き抜けが始まってるかを見極めるのは難しいけれど、パワーダウンや煙吐きが増えるのがその症状。さらにチャンバーを外すことができれば、直接ピストンを目視してリングの下にカーボンが付着しているかを確認する方法もある。リングより下が黒くなっていれば吹き抜けてる証拠だから。さらにはシリンダー側面にカーボンが付着して黒くなっていたら、もうそれはアウト。OH前提だそうです。

 あと2ストでありがちな排気デバイスの故障だけれど、これはそうでもないらしい。腰上の整備の時に併せてクリーニングしてあげれば大丈夫でしょうとのこと。NSRと一緒で固着しちゃうとギアのナメや過電流によるPGM損傷になるから気をつけておきたいところではあるけれど。

 ストラーダで最後に付け加えてくれたのは「オイルは必ずホンダ純正を使うこと!!」これはもう鉄則だそうですよ。いらぬトラブルの原因になるし、純正オイルを使っていれば、少なくとも何かあったときにそこを疑わなくて済むわけだから。

 しかし話を聞いた印象では、けっこう大丈夫でしょうという感じ。ARの一つ前の93年型CRMもかなり頑丈で良いバイクだそうです。絶版とはいえそこまで古くないもん。

 CRMの他にもランツァなんかもこの時代の素敵な2ストオフ車。スズキのRMXはちょっとイジルとヤバイぐらいに速くなるというし(メンテも大変らしいけど)、あとカワサキのKDXなんかも絶対楽しい。失われていく2ストオフ車、今こそ乗るべきでしょう!

 

この写真は4ストのピストンだけど、リング周りのカーボンの例です。こうやって上のほうにカーボンがついて黒くなってるぶんにはいいのだけど、リングの下のシリンダー側面が黒くなってると吹き抜けてるってこと。チャンバーを外させてくれる中古車屋さんはなかなかないだろうけれど、個人売買で購入する際や、自分のマシンのチェックとしては有効な方法かもね!

 
(ノア)