2013年12月15日 

■「カフェ」と「キャフ」の違い

 

このブログは一応「ミスターバイクBGのブログ」ではあるものの、WEBミスターバイクの中に組み込まれているため、純粋にミスターバイクBG誌の読者に対して書くことも難しいし、かといってWEBミスターバイクの読者に向けて書いてしまってもちょっとヘンになっちゃう。だってBGブログなんだもん。

 

このブログ読者の中にはWEBミスターバイクを見てるからついでに見てる人もいるだろうし、このブログだけにブックマークして読んでる人もいるでしょう。でも今日は前者に向けて書こう。

 

WEBミスターバイクの読者(って言うのか?閲覧者かな?)はご存知と思いますが、コラムのなかで「バイクの英語」ってのがあります。毎回書いてる人が変わってることになってるけど、あれはたぶん同じ人が書いてると思うなぁ。それは別に良いのだけど、あれが本アップされる前に大抵ピンキー大統領から「これこれは本当にそうなのか」とか「英語的にこれは事実なのか」「文化的にこのような背景があるのか」などという問い合わせが来ます。

 

まぁ、多少なりとも英語が話せたり、向こうにも行ってたりするので聞いてくれるんだと思いますが、ピンキー大統領、けっこう真面目でね(笑)。あのコラムって読んでみるとだいぶテキトーなことを書いていて、場合によっては決して本当のことは書いていないと思うんです。登場する英語の言い回しやことわざ、表現は実際に存在するものですが、「諸説ある」と前置きされるその語源については怪しさ千万。むしろライターさんが思いついただけのコジツケを書いているように思います。ま、それがあのコラムの目指すところでしょうし面白さでしょう。ライターさんって変わり者が多いから……。

 

先日アップされた最新版では、カフェについて書かれていました。今回の語源はそれなりに真実味もあるかと思いましたが、ピンキー大統領は「カフェの語源はコーヒーなのに、飲んでたのは紅茶って書いてるんですよ。さすがに不自然じゃないですか?イギリスでは本当にカフェで紅茶を飲むんですか?」というご質問。そんなの筆者に聞いてくれよ、と思いながらも、しかしコラムに出てくる表現は間違っておらず、10年ぐらい前までは確かにろくなコーヒーは飲めなかったですよ。

 

じゃあなんでカフェっていうのさ、と愛用している講談社の日本語大辞典を開くと、載ってねーや……。じゃウィキペディアによると、やっぱりコーヒーが語源で、イギリスはロッカーズとかのずいぶん前からコーヒーが流行ってたんですって。その割にはコーヒーのマズさは抜きんでてたけど、それ以前に日本のコーヒーは世界でもトップレベルの品質だから、そもそもこっちの舌が肥えちゃってる可能性もあります。

 

ともかく、イギリスのカフェについて問われれば、個人的には深夜まで営業する大衆食堂のようなものを連想します。トラックドライバーが止まって、スパム&目玉焼き定食を安価で食べられ、ティーカップではなくマグにティーバッグが無造作に突っ込まれた紅茶を飲むようなそんなところ。アメリカで言う「ダイナー」ですね。

 

イギリスでは「カフェー」なんて尻上がりにカッコ良く言わず、「キャフ」と呼んで、誰でも、身なりを気にせず、安い食事にありつける場として存在します。「オールデイブレックファースト」という、イギリスならではのヘヴィな朝食メニューを夜中でも食べられるのが共通する特徴でしょうか。

 

日本で言うところのちょっとおしゃれにコーヒーを飲むカフェは、あちらではティーハウスと呼ばれ、ティーポットとティーカップ、いわゆる「チャイナ」と呼ばれる磁器で紅茶が飲め、しかも紅茶のおかわりができる上にクリームスコーンなども食べられます。静かな音楽がかかっていて、揚げ物の匂いはしません。

 

こんな「キャフ」にロッカーズたちは集まって、夜な夜なカフェレーサーを走らせたのでしょう、と思っていたら、先日発売された別冊モーターサイクリストにまさにエースカフェの記事が。「もともと24時間営業のトラックドライバー向けのキャフに、夜中集まれるからライダーが集まってきたのが起源」みたいなことが書かれていました。ほらー!やっぱね!さらに「コーヒーはマズく、やはりイギリスでは紅茶を飲むのが正解のようだ」って、ああいう真面目な雑誌で書いてくれるとなお説得力があったのになぁ(笑)。

 

そんなわけで、カフェがおしゃれにコーヒーを飲むところではなく、夜中のバイク乗りのたまり場で、実際に飲んでたのは紅茶だったという説は大きくは間違ってないと思います。でもあのコラムに出てくる様々な語源は鵜呑みにしない方がいいと思う(笑)。ネイティブに会ったら「こんな説があるんでしょ?」とネタとして持っているぐらいがいいんじゃないかな?

 

(ノア)