2014年12月9日 

■売り時の「旬」

バイクへの思い入れがたくさん詰まっているミスター・バイクBG読者が多いこのミスター・バイクBGブログなわけだから、あんまりバイクをポンポン売っちゃう話を書くと「なんだよ、アイツ愛情がねーな」とか「ポリシーやこだわりが感じられない!」などと言われちゃうのだけど、僕はバイクはどんどん乗り換えるほう。

 

乗り換えるってことはそれまで乗ってたバイクは売るわけで、その売ったお金を元に次のを買うわけです。ま、多くの人はそうじゃないかと思うけどね。

 

売らずに違うのを買うと、置くところに困るとか、税金がかかるとか、保険を何台分も払わなきゃいけないとか、そういう心配もあるけれど、結局あんまりたくさん持ってても管理しきれなくて徐々に腐ってっちゃうんだよね、バイクが。結局調子がいいのはいつも乗ってるヤツだけ、みたいになっちゃう。そうするとそもそも複数台持ってる意味がなくなる。乗ろうと思っても調子悪い(もしくは不動になっちゃってる)から。全部に均等に乗って、調子を維持できる余裕があれば良いんだけど……

 

そんなわけで年末大掃除中。溜めこんだバイクを現在放出しています。

でまた値付けが難しい! だいたいは1520万で手に入れて、そこから細部をぜーんぶ綺麗に整備して「よし、これでもうバッチリ」という状態にするわけですよ。そこまでまた15万ぐらいかかってたりするから、本当は25万ぐらいで売りたい。でも実際には12万ぐらいでしか売れなかったりするから毎回毎回ちゃあんと損してる。

 

それでも12万円になると「ほっほっほ、12万もあるぜ!これに20万足せばあんなのやこんなのが買える!」と盛り上がって同じことを繰り返す(笑)。

 

 

3年ぐらい前、よく通る道にピッカピカのCBR954RRが停まるようになってた。屋外駐輪場でね、これまたピカピカのカバーが被せてあった。「いいなぁキューゴーヨン、憧れるっす。良いの買ったね!」なんて思いながらその前を通り過ぎるのだけど、1年もするとカバーがボロボロになってきた。そのうちカバーは被せられなくなって、せっかくの954がむき出しで停まってる。当初のツヤは失われ始めた。

 

「今っす!売り時!」と思ったね僕は!

オーナーさん、あなたはもう、そのバイクには乗らないよ?

「今」ならまだエンジンもかかる。

「今」ならまだタイヤも使える。

「今」ならまだボロボロ感が薄い。

「今」なら値段がまだつく。

「今」なら売ったお金でもう少しハードルの低いバイクを買って、あなたはバイクに乗り続けることができる。

 

ところがそのオーナーは売らない。その状態になってからさらに1年は経ったと思う。車検は切れ、外装は褪せ、タイヤから空気は抜け、チェーンも錆びた。買ったときは安い買い物ではなかったはずなのに、毎日毎日そのバイクへの愛情が薄れていっているのが感じられる。毎日毎日そのバイクの価値は下がっていく……。

 

954に対してはちょっと思い入れもある僕としては、その前を通ることが苦痛になってきていた。見る度に非常に悲しい気持ちになった。最終的にはその道は通らなくなった。

 

久しぶりにその道を通ったら、その954はなくなっていた。とうとう売られたのでしょう。でもたぶん、かなり安かったと思う。だって僕だって「今っす!売り時!」と思ったあの時だったら40万ぐらいは出したでしょう。でも最後の方だったら、ちゃんと走るようにするまでのお金を考えちゃって、出しても20万だっただろうな。プロなら利益も乗せなきゃいけないんだから、当然もっと安く買っていくことでしょう。

 

バイクを手放すのは難しいけれど、決断を先のばすとあまり良いことはない。

 

4か月ぐらい前、同じような状態の600ccスーパースポーツを持っている人に会った。

すでにチェーンは錆び始め、タイヤも硬化し始めていたけど、とりあえずまだエンジンはかかる。フォークのインナーも錆びていない。

35万!現金で今払う!」と言ったのだけど「いやいや、まだ乗るよ(笑)」と言う。

その後、やはり乗ってる様子はないから何度かアタックしたけれど、効果なし。

 

そしたら先日、「来年の春には違うバイクを買いたいから、その時になったら売るよ。35万ね?」と言う。違うんですよ、35万は4か月前の値段です。4か月の間に錆が進み、腐食が進み、車検の残りは減り、ゴム部品は硬化し、価値はどんどん下がるのです。たった4か月だけど、「今だったらもう30万だな」と口には出せなかったけど思いました。

 

ね、難しいんですよバイクを売ったり買ったりは。

良さそうなバイクに出会うとすぐ「乗らなくなったら買うよ!」と言っていますが、のちに「乗らなくなったよ」と連絡をもらう頃には、大抵はもう不動車。不動になる前だったらもっとちゃんとしたお金を払うのに……と本当に心苦しい。

 

バイクを買うのも大きな決断だけど、売るという大きな決断もしなければいけない時があります。調子がいいうちに手放せば、次のオーナーに楽しんでもらえる可能性が高く、部品取り車となったり海外に輸出されたりなどとなる可能性は少ない。

 

 

誰かが「欲しい」と言ってくれ、ある程度まとまったお金を提示してくれる内が花ですぞ! ということで、「その600cc、今ならまだ33万で買います!」 

決断してよねー(笑)

 

(ノア)

PS ミスター・バイクWEBのこの記事のアイキャッチ画像に使ってるのは水冷のGSX-R750。これも近所で腐り始めてるのがあって悲しい。かなり欲しいバイク…