②次期二輪車排ガス規制は欧州「ユーロ5」規制値とほぼ同等!加速騒音や試験方法、クラス分けなども含め日本もついに国際基準に
②次期二輪車排ガス規制は欧州「ユーロ5」規制値とほぼ同等!加速騒音や試験方法、クラス分けなども含め日本もついに国際基準に
※写真はイメージです

 実は2006年に国内4メーカーは「将来目標」として——●二輪車の技術基準の国際調和●どこで製造した製品も安全・環境基準に合致——ということを掲げていた。それがユーザーにとってコスト面や安全・環境基準で有益であると。
 そして今年、それに対する肯定の答えが続々と打ち出されてきたのだ。

 環境大臣から「今後の自動車排出ガス低減対策」の諮問を受けていた中央環境審議会(鈴木基之会長)は8月10日に第11答申を細野豪志環境大臣に行った。この中には二輪自動車・原動機付自転車(以下、二輪車)の次期排ガス規制等(等は、ディーゼル重量車などについて)について答申がされている。その答申の中で、特に光化学オキシダント生成に寄与するHC(炭化水素)の排出量がガソリン・LPG自動車に対して車両当たりの移動量で比較して二輪車の排出ガスが高いことを踏まえ、排出ガス低減対策を進めるとしている。

 排気管排出ガス低減対策:排出ガスの試験については、現行のいわゆる「二輪車モード」から日本も参画する国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(UN-ECE/WP29)で策定された世界統一の試験方法であるWMTC(Worldwide harmonized Motorcycle Test Cycle )に変更する。

 これによって規制を分ける車両のクラス分けは以下のようになる。

<クラス1>:総排気量0.050リットル超0.150リットル未満かつ最高速度50km/h以下。または総排気量0.150リットル未満かつ最高速度50km/h超100km/h未満の二輪車
<クラス2>:総排気量0.150リットル未満かつ最高速度100km/h以上130km/h未満。または総排気量0.150リットル以上かつ最高速度130km/h未満の二輪車
<クラス3>最高速度130km/h以上の二輪車

 このクラス分けによる二輪車の排気管からの次期排出ガス許容限度目標値は現行より3〜6割低減に。これで日本の規制値も欧州委員会が排ガスについて出したEU指令による法的規制を導入した排ガス規制の「ユーロ5」とほぼ同等になった。この規制は平成28年(2016年)末までに適用を開始する。その適用開始までの間は、現行の二輪車モードによる規制値に対し、WMTCによる等価規制値も答申された。

 これに加え答申は排気管排出ガス規制だけではなく、燃料タンクからの燃料蒸発ガス対策も導入している。この試験法はカリフォルニア州試験法と同じ「ダイアーナル・ブリージング・ロス試験およびホット・ソーク・ロス試験」が採用され、許容限度目標値はガソリン・LPG自動車と同等の2.0g/test。これは既に活性炭に燃料蒸発ガスを吸着させ走行時にエンジンに取り込み燃やす技術(チャコールキャニスタ)が定着していることから大きな技術課題とはならないと言われている。

 さらに二輪車に対して、電気系統の断線等による機能不良を監視する自己故障診断OBD(On-BOARD DIAGNOSTICS:オンボード・ダイアグノシクス)システムの装備を義務付ける。これも既に採用しているモデルもあり大きな技術的障壁にはならないという。これらは平成28年(2016年)末までに運用を開始することになった。

 また、以上の対策は近いうちに市場に導入される予定になっているバイオエタノール10体積%を混合したガソリン(E10)に対応した二輪車にも適用される。

 以上のように二輪車の次期排出ガス規制値が非常に厳しい内容であることは事実だが、世界統一の試験方法を採用、「ユーロ5」の規制数値とほとんど同じものになった。

 また、騒音についてはこの4月にECE R41-04による国連の基準調和による加速騒音規制が選択されているのだ。

 このように様々な規制値が国際基準と同じにされることになり、従来の国別対処の開発技術コストで大きな軽減化がなされることになる。特に輸出入のメインである小型二輪にとっては大きなメリットとなり、追い風が期待される。

 国内4メーカーは願っていた国際基準調和が「ほぼ実現できた。歓迎したい」としている……のだが、確かに日本もその調和に加わることができたものの、さらに求められるのは「各国が自国の法規に国際基準調和を導入して、製品の仕様が統一されなければならない」という面だ。他の国が独自のエリアや国内法で勝手に基準を作っている場合がある限り、真の国際基準調和とは言えない。国内4メーカーはそれを「どの海外メーカーも国際基準となった日本の基準をクリアーして入ってきていただきたい」という表現で要望しているのだが。国際基準に調和させたら”貧乏くじ”だったなんてことは考えたくないし、させてはいけない。どの国もひとつのリングに同じ条件で”選手”が上がってファイトするのが国際基準調和の最終完了形なのだ。なお、具体的な規制値などについては中央環境審議会環境省のサイト(いずれのサイトも「審議会・委員会等」→「答申一覧」へ進む)を参照していただきたい。

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