MBHCC A-1
第25回「東北めざしてアクセルを開けろ!!」の巻

 10月の半ば、3日間休みが取れたので、久しぶりに野宿ツーリングに行くことにしました。どこにするか迷ったのですが、趣味の風水によると「東北」方面が吉方とのこと、そこで東北行き当たりばったり旅にすることにしました。

 いろいろと準備に手間取ってしまい、高円寺のアパートを出発したのが午前10時。カンナナ(環状7号線)を北上しまして、鹿浜橋から首都高速に乗り、そのまま東北自動車道をひた走ります。

 ワタシ、スピード出すの苦手なんで、いつもだいたい85km/h前後しか出さないのですが、そんなワタシを何台ものバイクがものすごいスピードで追い越していきます。中には、たぶん200km/h近く出しているんじゃないか? ってのもいましたよ。しかも二人乗りですよ? あれ後乗ってて怖くないのかネェ〜?

 都賀西方SAで1時間程休憩して、栃木県の矢板ICを降りたのが1時過ぎ、そのあと国道4号線をチンタラチンタラ走ります。

 福島県の白河で大好きなしょうゆラーメンをいただき、5時に二本松に到着しました。スーパーで食料を買い込み、岳温泉に向かいます。じつはここに「あだたら高原野営場」という、無料のキャンプ場があるんです。過去3回ほど利用したことがあるんですが、けっこう気に入ってるんですよね。

 いつものように客はワタシ1人。広場の隅っこにテントを張ったあと、歩いて5分のところにある「スカイピアあだたら」という施設に向かいます。ここは500円で温泉に浸かれるんです。ジャグジーでマッサージしたり白く濁ったお湯に入ったりして、1時間ほどのんびり過ごしました。



東北行き当たりばったり旅は鹿浜橋ランプからスタートだ。さあ走るぞオー!!
東北行き当たりばったり旅は鹿浜橋ランプからスタートだ。さあ走るぞオー!!

那須高原をながめながら国道4号線をチンタラ走るのであった
那須高原をながめながら国道4号線をチンタラ走るのであった。

いつもここワタシ1人で利用してるんですが翌日はたくさんの人々が……
いつもここワタシ1人で利用してるんですが翌日はたくさんの人々が……

 夜、やっぱりここは東北なんですね。かなり寒いです。炊事場の電気は消しているから真っ暗闇の中、テントの中で少しお酒を飲んで、早めにシュラフに潜り込みます。

 

 早朝4時前に目が覚めました。テントから抜け出し空を見上げるとものすごい星空。これを見られただけでも来た甲斐があったというものです。気温は11度。やっぱ寒いです。真冬用のグローブを着けて、5時前にはスタートします。

 早朝の国道4号線をチンタラ走ります。福島競馬場の前を通り過ぎ、白石市を過ぎると、「亘理町」「仙台空港」「名取」「若林区」等々、震災の時ニュースで聞いた表示が見られます。そこでいったん国道を離れ、海沿いに行ってみます。すると櫛の歯が抜けたような状態になっている松林や、田んぼ(だったであろう)の真ん中にボートがひっくり返っていたり、窓が割れ、壁が抜け、廃墟になって打ち捨てられた家がたくさんありました。


福島競馬場。ちなみに翌日は秋華賞でしたが、このコラムの担当Aさんは勝ったのかなあー!?
福島競馬場。ちなみに翌日は秋華賞でしたが、このコラムの担当Aさんは勝ったのかなあー!?

 復興のための工事車両が頻繁に行き来しているし、地元の方の邪魔になっては困るし、すぐにその場を離れたのですが、テレビ画面で見るのとは違い、実際にこの目で見ると、その恐ろしさはハンパではありませんよね。なんか走ってて、ジワっと涙が溢れてきてしまいました。


巨大な津波が襲った海岸。何軒もの家が廃墟になっていました

被災地にかかる虹。神サマからの励ましなのでしょうか!?
巨大な津波が襲った海岸。何軒もの家が廃墟になっていました。 被災地にかかる虹。神サマからの励ましなのでしょうか!?

 9時、塩釜市に到着。塩釜神社に参拝したあと石巻に向かいます。途中の松島は観光客の方が戻ってきているみたいでけっこう賑わっています。

 石巻には、12時に着きました。20代の頃に青春18キップで来て、4年前にバイクで来てるから、3度目です。町全体を襲った津波の映像が頭にあるので、ゴーストタウンみたいになっているのかと思っていたら、別に普通に商店が開いていたりするので、なんか安心しました。でも、裏の方に回ってみると、壊れたままの建物や閉店した店なんかもたくさんありました。

 石ノ森章太郎ミュージアムも閉館したままでした。日和山から街全体を見てみると建物の土台のみ残っている、いくつもの空き地が見られます。河口のそばの小学校も廃校になっていました。近くの信号機のてっぺんには「ここまで水がきました」との文字が……。ゾッとしてしまいました。


塩釜神社は202段の階段を登って参拝しましょう。けっこうキツイぞ
塩釜神社は202段の階段を登って参拝しましょう。けっこうキツイぞ。

偶然見つけた酒蔵。いつも居酒屋でこの「浦霞」飲んでるのヨ♡

松島や、ああ松島や松島や
偶然見つけた酒蔵。いつも居酒屋でこの「浦霞」飲んでるのヨ♡ 松島や、ああ松島や松島や。

街中のあちこちに石ノ森先生のキャラクターが。ロボコンのTV版、おもしろかったよね

石巻駅前にある009の像。震災時よくテレビで見ました
街中のあちこちに石ノ森先生のキャラクターが。ロボコンのTV版、おもしろかったよね。 石巻駅前にある009の像。震災時よくテレビで見ました。

サブと市。映画みたいに描いている漫画がスゴかったんだよォー。大好きでした

石ノ森章太郎ミュージアムもボロボロでした。早くまた再開してほしいです
サブと市。映画みたいに描いている漫画がスゴかったんだよォー。大好きでした。 石ノ森章太郎ミュージアムもボロボロでした。早くまた再開してほしいです。

この風景がスッポリと水に浸かっていたなんて……本当に信じられないですよね

少しずつ元の姿に戻っていく石巻の街。このタイルもボランティアの方々が直したそうですよ
この風景がスッポリと水に浸かっていたなんて……本当に信じられないですよね。 少しずつ元の姿に戻っていく石巻の街。このタイルもボランティアの方々が直したそうですよ。

現政府に頼っていても何も変わりません。ワタシも含めみんなでがんばりましょう
現政府に頼っていても何も変わりません。ワタシも含めみんなでがんばりましょう。

 駅前の店で「復興祈願膳」なるものをいただき、帰途につきます。今朝通ってきた国道4号線をまたダラダラ下っていきます。6時半にあだたら高原野営場に着いたのですが、なんと何組もの泊まり客がいてびっくりしてしまいました。いつもはワタシ1人のみですから。そういや今日は土曜日だったのネ。


岳温泉には立ち寄り湯がいくつもあるぞ。身体も温まるし、お肌もスベスベ♬

ワタシのお家。ちなみにこのテント、もう11年も使っています。軽くて丈夫なのヨ!!

標高1699.6mの安達太良山。そろそろ紅葉の季節。ロープウエイで上まで登ろう
岳温泉には立ち寄り湯がいくつもあるぞ。身体も温まるし、お肌もスベスベ♬ ワタシのお家。ちなみにこのテント、もう11年も使っています。軽くて丈夫なのヨ!! 標高1699.6mの安達太良山。そろそろ紅葉の季節。ロープウエイで上まで登ろう。

 次の日、パンと野菜ジュースで朝食を採ったあと、8時半に出発。今日はただ帰るだけです。来た道をチンタラと下って宇都宮あたりまで来たとき、ふと「二宮町」のことを思い出しました。前回のこのコーナーで「二宮尊徳」氏のことを書いたのですが、栃木県の二宮町は、氏が藩主の命を受け移り住まわれたところなんです。国道4号線に別れを告げ、国道408号線に入ります。

 1時頃「二宮尊徳資料館」に到着。家族とともに住まわれた番屋も復原されていました。小田原にある記念館よりも小規模なんですが、貴重な資料がいろいろと展示されていましたよ。

 尊徳氏が赴任された頃、このあたりの方はあまり農業に熱心ではなく、酒を飲んだり博打にハマったりする人が多かったそうなんです。そこで、熱心にやり方を教えたり、褒美を与えたり、また、いっしょに汗を流したりして、多くの作物が採れるような立派な村に変えられたそうなんです。このあたりの方は今でも二宮尊徳氏のことを尊敬しておられるらしく、そのため町の名前も「二宮町」にしたんだそうですよ。


この地に赴任し、すばらしい実績を残された尊徳公。日本人の誇りでアリマス

平成18年に復原された桜町陣屋。住居軒役場といったところかな
この地に赴任し、すばらしい実績を残された尊徳公。日本人の誇りでアリマス。 平成18年に復原された桜町陣屋。住居軒役場といったところかな。

 しばらく町内を回った後、国道294号線を南下していたら突然の雨。道の駅しもつまで「下妻丼」をいただき、少し雨宿りしたあと、常磐道谷和原ICから東京外環道を経由して、無事、高円寺まで戻ってきたのですが、前回のこのコラムに引き続いてまたまたビショ濡れなのでありました。


地元の名産ブタ肉を使った「下妻丼」。ヘルシーでおいシィー♬
地元の名産ブタ肉を使った「下妻丼」。ヘルシーでおいシィー♬

 総走行距離1001km。かなり距離が長かったので、ただ行って帰ってきただけの旅になってしまいました。3日もあるのならボランティアでもしてこいよ!! って突っ込みを入れられそうですが、ホントにそのとおりですよね。でも現地の様子が少しでもわかったので、いつかはなんかできれば、って考えています。

 昨年、福島に行ったときはバイクも車もガラガラでした。でも今年はけっこう観光客の方も見受けられました。こうして少しずつ少しずつですが元の姿に戻っていくんでしょうね。ワタシもまたいつか東北回りたいと思っています。


ルリカミド
ルリカミドリ

九州、福岡出身のバイク大好き娘。

ヒマさえあれば相棒のシビちゃん(HONDA CB400SF)とともに旅をしている。

別のペンネームを使い、法律や料理にゴルフ、はては高校受験まで原作付きのハウツー漫画を中心に描いてきたマンガ家であるが、最近では開店休業中との噂も(泣く)……


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