順逆無一文

第50回『Honda CRF250Lと生活する』
番外編


 2013年の2月5日にスタートした、CRF250Lによる通勤テスト。PART1PART2とレポートをお送りしてきましたが、その後も相変わらずCRF250Lで通勤を続けています。その後の『通勤快速日記』の番外編ということで、PART2以降の経過あれこれや、気になったことなどをちょこっとまとめてご報告を。

 PART2のご報告後も、雨や雪の日を除いてほぼ毎日CRF250Lで通勤しています。オドメーターはすでに20,000Kmを超え、エンジンは今や一番“おいしい”時期を迎えているみたいです。もともとタコメーターがないので、シフトチェンジのタイミングはライダーの感覚次第ですが、ここまで一台のマシンにずっと乗り慣れると、まったくショック無しでギアを切り替えられるのがなんだか嬉しいんですね。ノンシンクロ・ミッションではシフトチェンジにショックがあっても当たり前、の世界ですから。立ち上がりでスクーターのお兄さん達に負けないためにも、素早いシフトでしかもまったくシフトに気付かれないように…。

 さて、その後の経過ですが、まずは燃費から。

 昨年の3月19日から燃費データの記録を再開しました。その時点でオドメーターは13,435kmになってました。そして12月26日現在で21,436km。9ヵ月ちょっとで8,001km。その間にトータルで補給した燃料は、281,57リットル。実燃費はリッター28.44km。PART1の25.46km、PART2の26.30kmと比べると大幅に伸びました。

 エンジンにアタリが付いてストレスフリーで回るようになったからというのも若干あるのでしょうが、乗り手の方が“調子に乗ってブン回して乗らなくなった”というのが一番の理由でしょうか。それとやはり7.7リットルとオフ車スタイルのマシンとしては当たり前のタンク容量の少なさから、ちょっと遠出をするケースなどでは無意識に燃費優先走行をしていることが多くなりました。この航続距離の短さはCRF250Lを通勤マシンとして使っている上での数少ない短所でしょうか。ちなみに通勤だけでも2回の往復で給油、のパターンになってます。満タン法で測ってますから正確とは言えませんが、一番燃費が悪かった区間でリッター24.03km。一番良かったのは燃費を気にしながら撮影のお供で房総へ出かけたときのリッター39.18km。伸ばそうと思えばここまで伸びるんですね。燃費データを取り始めてからこれまでの平均燃費は、リッター26.73kmになりました。

 メンテナンスの面では、一番驚いたのがチェーンの伸びの少なさ。通勤快速号にはDIDの520が付いていますが、ほぼ雨中走行を避けていることもあって、まだ一度も交換せずに済んでいます。驚異的ですね。タイヤはPART2のレポート後、交換してもらっています。IRCのGP-21F(3.00-21 51P)とGP-22R(120/80-18M/C 62P)。あとウインカーが挙動不審になったことからバッテリーも交換してもらってます(YTX7L-BS、12V-6.0Ah)。

 また、先日フロントのブレーキパッドをドリーム店さんに発注しました(品番:06451-KZZ-901、価格:5,526円)。オフタイプのモデルでは一般的にリアブレーキのパッドはフロントに比べてなかなか減らないものらしいですが、私の場合さらに輪をかけてリアブレーキを積極的に使いこなせていないので、リアのブレーキパッドの厚さはまだほとんど新品状態。いけませんねリアブレーキもちゃんと使うように心掛けなくては。減っていなくても経年変化的には交換した方が良いのでしょうけど。

 ユーザーさんのWEBサイトでは、フロントブレーキの利きが甘いというような書き込みをよく目にしますが、個人的にはロードスポーツじゃないので十分かと。以前に乗っていたXLディグリーのことを考えればちゃんとリアブレーキも利きますし。

 XLディグリーといえば、CRF250Lのヘッドライトの明るさにはとても満足しています。光量的にXLディグリーの3倍は明るくなった感じで、安全ですね。上向きなどクルマ並みの明るさといったらオーバーですけど、とても安心感があります。それにしても最近はやたらと明るいヘッドライトのクルマが多いですね。しかもそういうクルマに限って補助前照灯まで煌々とつけて走ってくる。いかに明るいとはいえ、所詮バイクのヘッドライトでは、すれ違うときに一瞬まったく前が見えなくなってしまう時すらある。これだけヘッドライトの性能が上がってきているのですから、補助前照灯などという対向車に迷惑なだけの余計な装置の取付はやめませんか、クルマのメーカーさん。ユーザーが求めるから、ではメーカーとしての良心が疑われます。率先してオプションカタログから落とすぐらいの心意気を期待したいですね。

 それと外車の“リアフォグランプ”。わざとなのでしょうが、これ見よがしに晴天の夜中にもこれまた煌々と点灯して走っている。ドライバーの知的レベルが知れるというものです。そういう風に他人の迷惑などどこ吹く風で生きてきているからそんな高級車に乗れるんでしょうね、と僻みの一つもつぶやいてしまうというもの。外車メーカーさん、ユーザーをきちんと啓蒙していかないと、ブランドそのものの評価を落とすことになりますよ。

 えっとなんでしたっけ。そうそうCRF250Lのヘッドライトの明るさ。スペック的には12V-60/55Wですから極端に明るいというわけではないのですが、色温度が高いのでしょうか、とにかく明るく感じます。オフタイプのバイクのヘッドライトが暗い時代は過去のものになりました(XLディグリーのヘッドライトが暗すぎたってか!?)。

 もうひとつ、これは標準装備ではないのですが、オプションでつけられているグリップヒーターのありがたさにも触れておきます。今年もいよいよ本格的な寒さのシーズンとなりましたが、グリップヒーター(Hondaスポーツ・グリップヒーター、品番:08T50-MGE-000、価格:22,680円、消費税抜本体価格:21,000円)のおかげでまだ指の痛さに悩まされていません。さすがに早朝の気温が0度C以下ともなれば、3段階の最強ポジションにしても指の甲側からジワジワと痛さがめぐってきますが、それだって我慢できる程度。ましてや下道なら信号待ちでその都度回復できますから、もうグリップヒーター様々。一シーズンでもこのありがたみを体験してしまうと、もうダメですね。次の通勤快速号が何になるにしてもグリップヒーターは装着決定でしょう。

 さて、“通勤快速”としてのCRF250Lですが、ビッグスクーターと違って便利なシート下トランクスペースがあるわけでなし、雨風から下半身を守ってくれるカウルもない、ハンドル幅があるので原付二種スクーターほどには小回りが利くわけじゃない、クロスオーバーモデルみたいに300kmだ、400kmだといった長い足を持つわけでもない、スポーツモデルのごとく駿足の悦しみがある訳じゃない、と個々に考えると、なんだか負けてる面は多い。でも、なんでこんなに楽しいんでしょうね、通勤が。オフロードタイプのモデルにはバイクの根源が感じられるからでしょうか。’70年代くらいまでのバイクはほとんど皆、ただの“バイク”のひと言で括られる存在だったんですよね。

CRF250L_sales.jpg

(※ミスター・バイクBG調べ)

              ※              

 さて、今月も“困ったちゃん”たちの話題を。

 とうとうやってくれちゃいました。12月23日付の中日新聞によれば、なんと! パトカーで当て逃げした巡査が道交法違反の疑いで書類送検されたというのです。飲酒運転や私用車での事故、不祥事などは、「警察官も人の子ですから」と言われれば、まあそれも仕方ないかな、と思えなくもない…いや、職業を考えるとそれすらあってはならないことですが、なんと「パトカーで当て逃げ!」いや~世も末ですね。

 愛知県警(やっぱりね、の愛知県警)の地域課の巡査部長が10月23日午前4時45分頃、同県の国道41号線の交差点で、信号待ちしていた大型トラックに追突し、そのまま走り去ったという。大型トラックの運転手も追突に気がつかず、事故を目撃した後続車の運転手の通報により事件が発覚したという。「居眠りをした感覚はあったが、ぶつかったことには気が付かなかった」との言い分。

 赤色灯をつけてサイレンを鳴らして容疑車両を追跡中に運転を誤って追突した、とかなら百歩譲って仕方がないでも済むでしょうが、居眠りで追突、しかもそれで逃げてしまうというのは、いったいどういう感覚なのでしょうか。職業倫理などとうの昔に無いとはいえ、人間としての最低限の規範も無くなってきているのでしょうか。

 仲間内では必要以上に優しかったり、馴れ馴れしかったりする反面、通りすがりの他人には極端に無関心、そして意味もなく敵意すら抱く最近の日本人、本当に壊れてきていませんか。まるでゾンビが周りにいるみたいなんですけど。

 同じように、警察官でありながら事故を起こしながら立ち去るという“当て逃げ”をした巡査は長崎県警にもいた。7月とだいぶ前になる。長崎県警の巡査が非番に乗用車を運転、立体駐車場内で停車していた軽乗用車に衝突、女性2人に全治1週間の怪我を負わせながらも走り去ったというもの。

 9月11日付けで書類送検されていたことが、なぜか12月にもなってから今頃ニュースとなって報道されているのだろうか。問題の巡査は、逃げた先の別の階でも駐車中の軽自動車にぶつけた後、近くの商業施設で堂々と食事をしていたところを通報で駆けつけた警察官に見つかり検挙されたという。一般市民でもこんな“犯罪気質”の人間は超少ないだろうと思うが。ちなみに戒告処分を受けただけなのだとか。9月の事件が12月にもなってから表に出てきたこととか、はたまた処分の軽さに疑問抱くのは私だけでしょうか。

 締めは、スポーツバイクに乗られる皆様なら一度はご経験があるかと思いますが、あのパトカー(覆面の場合の方が多いでしょうけどこのケースではパトカー)のリヤシートに案内される経験。そんな時には万が一の覚悟も必要、のニュース。岩手県でスピード違反でパトカーに検挙された男性が死亡しました。なんとその死亡理由というのが、全身打撲というもの。逃走を図ったあげくに事故を起こしてしまったわけではありません。パトカーに前方不注意のトラックが突っ込んできたというのです。パトカーの後席に連れ込まれていなければ…とくやまれますが、こればかりは拒否するわけにもいかず、ですね。当然のことながらパトカーは赤色灯をつけて停車していたということですから「通常どおりの業務の遂行中でした」のひと言で警察は仕舞いでしょう。ご冥福を。

(小宮山幸雄)


小宮山幸雄小宮山幸雄

“雪ヶ谷時代”からMr.BIKEにかかわってきた団塊ライダー。本人いわく「ただ、だらだらとやって来ただけ…」。エンジンが付く乗り物なら、クルマ、バイクから軽飛行機、モーターボートとなんでも、の乗り物好き。「霞ヶ関」じゃない本物!?の「日本の埋蔵金」サイトを主宰する同姓同名人物は、“閼伽の本人”。 


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