その6 1967年 スーパーカブC50 OHCエンジンのおっぱいカブ

●試乗・文:髙橋二朗
●撮影:富樫秀明

●取材協力:Honda・ホンダモーターサイクルジャパン http://www.honda.co.jp/motor/
      ホンダコレクションホール http://www.honda.co.jp/collection-hall/


C50


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 1964年のC65を皮切りにスーパーカブ・シリーズはエンジンをOHC化。1966年には全モデル外装が一新される。そのフラッシャーレンズの独特の形状から、このシリーズは通称“おっぱいカブ”と言われている。エンジンのOHC化は耐久性の向上が主な目的で、“カブはエンジンにオイルが入ってなくても壊れない”なる神話が生まれたのも、このモデル以降と言われている。

 今回の試乗車となったおっぱいカブのC50は昔、我が家にもあったのを覚えている。色も同じだ。当時、小学生だった私はC50のシートに座ることくらいしか出来なかったが、3つ年上の兄は父の指導の下、もちろん今では(厳密に言えば当時も)ご法度ではあるが近所の空き地でC50を運転することができた。兄がエンジンの付いたC50を簡単に操縦してしまったことにとても驚いたが、オートバイやクルマにはまるで関心がなかったはずの彼の、走っている時の嬉しそうな満面の笑顔もとても印象に残っている。そうそう、高校生になって二輪免許を取り、自分で初めて運転したスーパーカブは鎌倉の親戚のウチにあったおっぱいカブのC65だったなぁ。

 で、初試乗となったC50は1967年生産モデル。C50は現在のスーパーカブに基本はより近くなっており、OHCとなったエンジン&排気音も今もそこら中で聴かれるものに近いが、“手の内”感はC100に近い。シフトパターンはC100同様、1速と2速の間にニュートラルがあるタイプで、1速から2速のシフトアップは2モーションが必要となる。もっとも当時のスーパーカブは空荷状態では2速発進を推奨していたらしい。エンジンのフィーリング、操作感がC100よりも新しい分、若干スムーズに感じられた。



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①1964年からOHC化が始まるホンダ横型エンジン、50cc版はスポーツカブ(ベンリイ)CS50から始まる。F.I.化などを経て半世紀、現在もリトルカブにその“魂”は生きている。②スーパーカブ50と90にOHCエンジンが搭載された1966年以降、外装は基本的にシリーズ共通に。OHCエンジン搭載モデルから見られるようになったブレーキレバー先端のゴムカバーは1980年代まで採用されていた。③そのフラッシャーレンズの形状から、このシリーズは“おっぱいカブ”と言われる。四輪車・S600のフラッシャーレンズも同様の形状をしているが部品は異なる。④C100時代に比べ大きくなり、格段に見やすくなった計器。現在のリトルカブでもそのデザイン・テイストを感じることができる。⑤フロントサスペンションはボトムリンク式を継承。⑥新たに施行された安全基準に則った大型テールランプを採用。その製法から“モナカ”と言われるマフラーは1978年にメガホンタイプに変更されるまで、長きに渡って採用された昭和のスーパーカブを代表するアイコンでもある。
●エンジン型式︰空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ ●総排気量︰49cc ●内径×行程︰39×41.4mm ●最高出力︰4.8PS/10000rpm ●最大トルク︰0.37kg-m/8200rpm ●圧縮比:8.8 ●変速機︰自動遠心3速リターン ●全長×全幅×全高︰1795×640×975mm ●軸距離︰1185mm ●燃料タンク容量︰3L ●車両重量︰69kg ●タイヤ前・後︰2.25-17・2.25-17 ●車体色:カリビアンブルー、スモークグリーン●発売当時価格︰57000円

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