他のやつらはお金を払って中に入ったがオレはそこまでの興味はない。彼らが出てくるまで敷地内にある土産物屋で時間を潰すことに。店内は多くの人で賑わっていた。それほどの品数はないがやはりTTレースのグッズも置いてある。
その店の一角に何やら燻製のようなものが陳列されているショーケースを見つけた。
その中にあった魚の燻製がなんだかとってもオイシソウ。
もちろんオレの中の警戒心は今となってはどうやったってぬぐい切れない。
だがここまで来たらとことん試してみるべきだろう。ちょうど昼時で腹も減っている。
オレはパンとコーラ、そしてその魚の燻製を買って昼食にする事にした。
駐車場に戻るとまだみんなは戻ってきていない。さっそくその燻製の封を切ってみる。
まぁ、できたてではないので香りが立ち上るわけでもない。ほぼ無臭。余計な期待はしない。
今日の話のネタに味気ない燻製を食べたというだけでいいのだ。そして一口かぶりついた。
あれっ!? ウマァ~イ!!
スゲェ、ウメェ! なんだコレは!? ニシンかマスか?
これまで食ってきたものは何だったんだと言いたくなるほどの絶妙な塩加減。
コーラでなくビールにしときゃよかった。ちゃんとあるじゃねぇか、オイシイもんが。
ここへきてやっとまともな食い物を見つけた。マン島での生活も実質あと一日ほどしかないが意外とこの調子で次々においしいものにありつけるかも・・・なんて期待も湧いてくる。
まぁ、現実にはそんな事はまったく起きなかったのだがそれはまた別の話。久々のウマイ食事を食べ終えた頃、他の連中が戻ってきた。この燻製の話をすると例のマン島通の彼がそれがニシンの燻製でマンクス・キッパーというマン島の名物だと教えてくれた。
オレ達は再び車に乗り込みピールへ向かった。30分ほど走ると海が見えてきた。視界の端の方には城のようなものが見える。ピール城である。